APPLE SIDER

新世界へ掲載中。
涼宮ハルヒシリーズ外伝、第二弾。

ある雨の日、「俺」は一人の男に出会う。
そして「俺」はその男と約束をした。
ハルヒたちSOS団は「キョン」の行動に不信感を抱く。
男の真の目的とは一体――?


8月28日

皆さんは、長門有希の100冊の中に紹介されていた、「魍魎の箱」という小説を知っているだろうか。
作者は京極夏彦、ジャンルはミステリーだ。
私はこの本を読んで、とても大きく心を動かされた。
それで今日は、この本の感想を述べたいと思う。

moryonohako

まず初めに、「魍魎の箱」はとても分厚い。
それは、この本だけでなく、この作者の本が大体そうだ。
本屋に行くと、講談社文庫のコーナーに並べてあるが、他と比べてかなり浮いている。
それが、私の第一印象だ。

初めは手に取るのも躊躇われる。が、それを感じるのは初めだけだ。
いつのまにかページ進み、いつのまにか読み終わってしまう。
読み応えはたっぷりだが、それは読み終わったときの感想。
読んでいるときはそんなこと感じさせられない。
まるで、取り憑かれたように読んでしまう。

そう、取り憑かれたように。

この本には、妖怪が出てくる。
妖怪が、読む人の目をくらます。
もちろん、妖怪が出てくるといっても、それが殺人をするわけじゃあない。
妖怪なんて存在しないし、人を殺すのは人だ。
でも、妖怪はいる。
少なくとも私の目にはそう見えた。

妖怪が、事件をくらます。

この本には、タイトル通り、箱が大きく関係している。
箱に詰められた少女。箱を祀る霊能力者。巨大な箱型の建物。

探偵の榎木津、文士の関口、刑事の木場たちは、それぞれ別の方向から、色々な事件にからんでくる。
バラバラ死体事件や、少女誘拐事件など、端から見れば、まったく関係ないよに思える。
だがそれらは、気味が悪いくらいに一致する。
数多くの、共通点。
事件はどれも箱に関係している。
彼らは事件の真相を知ろうと、様々な調査をする。
だが、調べれば調べるほど謎は深まっていく。

彼らは、魍魎に憑かれていたのだ。
魍魎という、よく分からないものに。
そして事件を解決するのは、陰陽師の京極堂である。
事件を客観的に見ていた彼は、唯一真相を知っていた。
人々は、彼の元へ集まった。
そして、謎は解き明かされていく。

京極堂の「この世には不思議なことなど何もないのだよ」という決め台詞、そのままに。


この本は日本推理作家協会賞をとっている。
私は、ミステリーが好きな人に、是非お勧めする。
魍魎の箱」は京極夏彦の「妖怪シリーズ」第二作目だが、説明があるので一作目を読んでいなくても話は分かる。
続きからじゃあ嫌だという人(私もその一人)は、一作目の「姑獲鳥の夏」を読んでいただきたい。
これもまた、映画にもなっている名作だ。



Last up Date:2006/08/28